阪川さま
ご質問の件、私が経験した限りで分かる範囲でお答えいたします。
① ドイツ語の勉強:幼少時の在独2年間、学生時代のホームステイ8週間、社会人時代の語学留学8か月間などで日常生活と簡単なビジネスドイツ語はこなせていました。あとは、プライベートや仕事を通じて、日々勉強の毎日です。
ドイツの薬剤師国家試験の勉強:現地の薬局で研修した経験と、その当時の同僚の協力と、Apothekerkammer主催のセミナー、過去問、参考書など。研修半年、自宅学習約3か月で受験しました。
② 研修先は、自宅(デュッセルドルフ近郊)近くの薬局5,6件手当たり次第に履歴書を持って行き、研修したい意思を伝えたところ、数件からの手ごたえがあり、割とすぐに研修できる薬局が見つかりました。
③ ドイツで薬剤師になるために特別に必要だったことは、私の場合は「ドイツ人と結婚していること」でした。当時、ドイツ語能力や専門用語の試験などはありませんでしたが、もちろんドイツ語が母国語並みにできないと仕事になりませんので、それも最低条件です。渡独してから薬局での研修を始められるまでの3年弱は、日系企業でまったく違う仕事をしていたので、その3年間のブランクも、研修の際に感じることがありました。また、研修の後薬剤師免許を取得後、すぐに出産、育児のためまた2年間弱間があいたので、就職後も苦労しました。可能であれば、薬局での勤務を出来るだけ間を開けずに続けて、研修も丸1年間しっかりしたほうが、就職後少しでも楽だと思います。
④ 実際にドイツで薬剤師として働いて、日本と違うところは、医薬分業の歴史が日本とは比べ物にならないほど長いので、薬局が人々の健康管理の窓口としてとても身近であるということです。少しの体調不良の場合は、病院ではなくまず薬局で相談する場合が多いです。そのため、薬学の知識だけではなく、医療・健康全般の知識を求められます。自然療法も根付いているので、ハーブやホメオパシーの知識も必要です。また、どこの薬局でも化粧品も多かれ少なかれ取り扱っているので、それぞれの商品知識や、美容の基礎知識も問われます。これらも、セミナーや研修会などで勉強の毎日ですが、それは日本で薬剤師をしていても同じですね。
また、日本と根本的に違うところは、薬局内でどのスタッフも、有給をきっちり消化することです。もちろん誰かが休暇中は、より他のスタッフへの負担が大きくなることが多いですが、それでも仕事がきちんと回るようにオーガナイズされています。これは、薬局に限らず、日本で社会人経験があり、ドイツで働いている日本人なら誰でも感じることだと思います。
以上、思いつく限りで書いてみましたが、このような回答でよろしいでしょうか?
研修時、試験勉強時、初めての就職のころなどはとても大変でしたし、今でも、現地の薬剤師にはかなわないと思うことがときどきありますが、ドイツでも安定した職業ですし、当時頑張って本当によかったと思っています。こちらに永住または長期滞在のご予定ならば、挑戦する価値はあると思います。手続きの詳細などは、管轄のBezirksregierungによって違ってくることがありますので、勤務予定地でご確認ください。ご検討をお祈りします。
- Hatscher百合
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- 2016/11/14 (Mon) 06:13:15